2008年4月13日日曜日

ジェームズ・S・コールマン 「人的資本の形成における社会関係資本」

ジェームズ・S・コールマン 「人的資本の形成における社会関係資本」


社会関係資本には、「ダイヤモンド卸市場」、「学生活動家の活動基盤」、「住む場所による子どもたちの安全性」、「市場における異種承認間の連携」など多数の性質の異なる事例がある。それぞれの性質の違いは、社会関係資本には、「恩義と期待」、「情報チャネル」、「社会規範」の3つの形態があることから説明ができる。
「恩義と期待」とは、AがBのために何かを行い、Aは将来Bがそれに報いてくれると信頼しているとした場合、これによりAには期待が生まれ、Bには恩義が生まれる、というメカニズムである。このメカニズムは、恩義がいずれ報われるという社会的環境の信頼性と、追っている恩義の大きさを測る手法に依存している。
情報は行為をもたらす基盤となる点で重要であるが獲得コストがかかる。情報を獲得する手段の一つは、別の目的のために維持されている社会関係を利用することである。このメカニズムは、恩義と期待を発生させるが、提供する情報自体においてその関係には価値があるものであり、これを「情報チャネル」と呼ぶ。
効果的な規範が存在する場合、それは、強力で、しかしときに脆弱な形態の社会関係資本となる。集合体内における司令的な規範は、社会関係資本の非常に重要な形態であり、それによって人は自己利益的行動ではなく、集合体の利益のために行動することができて、人々を公共の利益のために働かせる。一方で、若者の「勝手きままな振る舞い」を制約する。これを「社会規範」と呼ぶ。
すべてのメカニズムは何らかの形態の社会関係資本を促進し、その関係から何らかの利益を得られる限りにおいて関係を維持する。
効果的な規範が依拠している社会関係のひとつが、ネットワークの閉鎖性である。一般的に、効果的な規範が発生する十分条件とは言えないが必要条件と言えるのは、他者に対して外的な効果を課すような行為である。オープンなネットワークでは、主体が相互に連結していないため他者の目を気にする必要はないが、クローズなネットワークでは、主体が相互に連結されているため、他者の目を気にする必要が発生する。
親子関係においても、子供Bとその親のA、子供Cとその親のDがいた場合、AとDが相互につながっていた方が、子供に対して効果的な教育が可能である。
具体的な事例として、高校1年生の中途退学に、社会関係資本の閉鎖性がどのように影響するかについて検証し、ネットワーク閉鎖性の効用に証明している。

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